金沢大学大学院医学系研究科 臨床研究開発 補完代替医療学講座

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目次

<<活用編>>

1.はじめに
2.補完代替医療とは
3.補完代替医療に対する心構え
4.補完代替医療に関心があるとき確認すべきこと
5.補完代替医療を利用するまえに確認すべきこと
6.補完代替医療に関する情報の集め方と注意点
7.補完代替医療(特に健康補助食品・サプリメント)を利用する際の注意点

<<資料編>>

1.補完代替医療を取り巻く世界と日本の現状とその社会的背景

2.補完代替医療の科学検証

 1).科学的検証とは

 2).サプリメントを検証する

 3).補完代替医療を利用する際の注意点(追加)

参考にした資料

 
補完代替医療を利用する際の注意点
 

がんの補完代替医療の有効性や安全性を、科学的な方法で評価しようという気運が、世界各国で高まっていることはすでに解説しました。その一環として、今までに学術論文として報告されたものをまとめた総説が、米国の内科学の専門誌である「Annals of Internal Medicine(内科学アナルス)」の2002年12月3日号に掲載されました。(Weiger WA et al: Advising patients who seek complementary and alternative medical therapies for cancer. Annals of Internal Medicine 137: 889-903, 2002.)
そこで、今回、その内容の一部を紹介しながら、補完代替医療を利用する際の注意点などについて追加説明をします。
まず、論文に取り上げられていた「避けたほうがよい補完代替医療」についてまとめた一覧表を表3に示します。

表3:患者の状態によって避けたほうがよい補完代替医療
治療法
避けたほうがよい状況
高度の食事制限をともなう食事療法 低栄養状態
抗酸化サプリメント 放射線療法・化学療法中の併用
抗凝固作用をもつサプリメント 血小板減少症、抗凝固療法中、手術
植物性エストロゲン
大豆サプリメント)
乳がん(特にエストロゲン受容体陽性の場合、タモキシフェン服用中)患者
子宮体がん患者
鍼灸 血小板減少症、抗凝固療法中
深部組織マッサージ
強力なマッサージ
血小板減少症、抗凝固療法中
セント・ジョンズ・ワート 化学療法中
薬剤濃度が有効レベルに達しなければ重大な結果につながるような薬を服用している場合
高容量ビタミンA 全ての患者が避けたほうが賢明
高容量ビタミンC 全ての患者が避けたほうが賢明

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さらに論文の著者らは、いくつかの補完代替医療の有効性と安全性に関して、学術論文を検索して科学的根拠に基づいた検証を行っています。その上で、さまざまな補完代替医療を、科学的根拠の強さによって「推奨」「容認、場合により推奨」「容認」「反対」の4段階に分類し解説しています。(「反対」に関しては表3を参照)
推奨」「容認、場合により推奨」「容認」の判定基準は、以下の通りです。

「推奨」:有効性と安全性の双方を支持する科学的根拠がある。
(有効性の判定基準として、結果の信頼性が高い臨床試験=無作為化比較試験が3件以上実施されていて治療法を評価していることが必要。さらにその臨床試験の結果の75%以上が、その治療法が有効であると支持していることが必要。)
「容認、場合により推奨」:有効性と安全性の双方を支持する科学的根拠がある。
(有効性の判定基準として、結果の信頼性が高い臨床試験=無作為化比較試験が1件以上実施されていて治療法を評価していることが必要。さらにその臨床試験の結果の50%以上が、その治療法が有効であると支持していることが必要。)
「容認」:有効性に関する科学的根拠は不十分だが、安全性を支持する科学的な根拠がある。
次に、この論文で取り上げられていたがんの補完代替医療の評価判定の一覧を表4、表5に示します。

表4:がんの進行と患者の生存に関する効果を目的とした補完代替医療
治療法
判定基準
注意事項
乳がんに対する低脂肪食 容認して経過観察 低栄養の患者では避ける
前立腺がんに対する低脂肪食 容認して経過観察 低栄養の患者では避ける
マクロバイオティク食 容認して経過観察 植物性エストロゲンが、含まれている食事の場合、乳がん患者、子宮体がん患者では、使用を避ける
前立腺がんに対するビタミンE
容認して経過観察 放射線治療や化学療法との併用は避ける
血小板が減少している患者、抗凝固薬を飲んでいる患者、手術前の患者は避ける
前立腺がんに対する大豆サプリメント 容認して経過観察 同上
サメ軟骨 容認して経過観察 高カルシウム血症の患者、妊婦・小児・血管不全患者
心身療法 容認して経過観察  

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表5:がんに伴う症状や通常の治療法の副作用を緩和することを目的
治療法
判定基準 
注意事項
化学療法による悪心・嘔吐に対する鍼灸 容認
(場合により推奨)して経過観察
血小板が減少している患者、抗凝固薬を飲んでいる患者は避ける
慢性疼痛に対する鍼灸 容認して経過観察  同上 
不安に対するマッサージ 容認
(場合により推奨)して経過観察 
血小板が減少している患者、抗凝固薬を飲んでいる患者は避ける
がん細胞の転移が予測される部位のマッサージは避ける
骨の転移がある場合は骨折に注意
疼痛に対するマッサージ 容認して経過観察  同上 
悪心(自家骨髄移植による)に対するマッサージ 容認
(場合により推奨)して経過観察
同上
リンパ浮腫に対するマッサージ
(弾性包帯に 対する補助手段として)
容認
(場合により推奨)して経過観察
同上
通常医療を受けている患者の身体機能や精神・身体的症状改善に対する運動療法 容認
(場合により推奨)して経過観察 
血小板が減少している患者、抗凝固薬を飲んでいる患者は内出血に注意
骨の転移がある場合は骨折に注意
発熱、脱水、電解質異常がある場合は避ける

以上「 Annals of Internal Medicine(内科学アナルス)」に報告された内容の一部を紹介し、がん患者が補完代替医療を利用する際の注意点をまとめました。
(※この論文が発表されたのは2002年です。その後に行われた臨床試験の結果によって、一部の治療法に関しては、評価判定が変わっている可能性があります)
補完代替医療の科学的検証は、現在も世界各国で盛んに行われており、今後、さらに利用上の注意点が増えていく可能性があります(もちろん有効性の報告が増えていく可能性もあります)ので、研究班では、定期的に内容を更新しながら、このようなガイドブックを発行していく予定です。

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