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金沢大学小児科 臨床研修について

私たちは小児科医としての喜びを3段階で伝えたいと考えています。

1. こどもに関わる喜び
  こどもを理解し、こどもの病気を診ることにより、
単純にこどもの医療に関わる喜びを知ること
2. まなぶ喜び
  出会った困難な症例の病態を丹念に分析し、解決の道筋を探ることにより、
病気のことを学ぶ喜びを味わうこと
3. 発見し記載する喜び
  そして最後に、症例を通じて発見した事実を普遍化し世界に発信することにより、
新しいことを記載し報告する醍醐味を感じること

そのための卒後3年目からのプログラムとして、まず多岐に渡る小児科の各分野を網羅的に研修し、日本小児科学会小児科専門医を取得するのはもちろん、各人が興味を持った小児科のサブスペシャリティーに関してさらに専門的な研修を加え、サブスペシャリティー専門医を取得します。また、研究にも興味を広げ、場合によっては大学院医学研究科へ進学し、これらと平行して研究をすすめ、学位(博士号)を取得します。 このような魅力ある研修プログラムのため金沢大学出身者はもとより、多くの他大学出身者の方が当科の後期研修プログラムを選択されています。サブスペシャリティーを選択する上でも全く自由意志に任せています。自由な気風が金沢大学小児科の身上です。

後期臨床研修・専門医養成コース

 小児科は守備範囲の非常に広い診療科です。これだけ医学の細分化が進んでいる現代において、年齢を基準にして枠を切っている診療科は小児科だけです。もちろんそれは、小児期特有の生理、すなわち成長し発達するという大人にはない大きな変化に対して対応する医学が必要だからですが、小児科を学ぶものは、あまりの情報量にともすれば断片的な知識に陥り全体像を見失いがちです。私達は小児科医育成のゴールを小児科専門医の取得には置きません。小児科医として一通りの見聞を得た上で、自身のサブスペシャリティーを決め、その領域で臨床に研究に精進してこそ始めて小児科医として一本筋が通るというものです。そして、その証としてのサブスペシャリティー専門医の取得を一応のゴールと捉えています。ここに至るまでに卒後9~10年かかります。この間、私達は一貫した小児科医養成コースを提供します。
 一つのテーマに没頭して研究をしてみることは病気の理解、ひいては小児医学全体への理解を高め、自分自身の中に新たな視点を得るにも役立ちます。臨床にも新たな取り組み方が出来るでしょう。このような理由から、小児科専門医を目指すみなさんには「自らが経験し学んだこと、発見したことを発表すること、普遍化した言葉を発信すること」を学んで頂きたいと思います。小児科学に限らず、臨床医学はすべて数えきれない多くの先達の血のにじむような努力の積み重ねの学問です。新しい技術の開発も、医療の進歩も、このような学問の積み重ねによってしか実現されません。私たちは先輩が残した財産に頼って、それを消費するだけの存在であることは許されません。著明な雑誌に論文を投稿するだけが全てではありませんが、臨床の経験の中で見つけた小さな事実を共通のことばで表現して報告することはとても大切です。これらの積み重ねの延長線上に、より大きな発見や成果が見えてきます。小児科医は特に、ひとりひとりのこどもたちをていねいに診療する中から誰も気がつかなかった事実を見つけることが多く、新しいことを見いだす機会に恵まれています。しかし与えられた機会を活かすためには、簡単に「診断名」をつけず、病態を丁寧に分析する姿勢が要求されます。私たちは先輩として、みなさんがこのような経験を積むことを助けてあげたいと思います。臨床医の目と研究者の思考を併せ持つ、すぐれた小児科医を育てることが私たちの最終的な責任と思い、自身の研鑽のためにも日々努力しています。