ライ RAI



QU'EST-CE QUE LE RAI ? 何がライか? 0、1、2、3、4、5

(休止中。最終更新 01.08.15.)

VEDETTES ET LEURS ALBUMS ライのスターたちと主なCD

(最新更新 04.10.09.)

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   AUTOUR DU RAI ライの周辺(最新追加・修正 04.10.09.)

CHRONOLOGIE ライ略年表

BIBLIOGRAPHIE ラ イ参考書誌(最新追加  04.10.10.)

1,2,3 SOLEILS 「アン・ドゥ・トロワ・ソレイユ」コンサート

(このページは内 容変更のため休止中です。08.03.17)

QUELQUES PAROLES DU RAI

と ころで、ライの歌詞はどういうことを言っているんだ ろ うか?

(最近の更新:00.04.02)

[注]以下のページの内容は、出典が明記されている場合以外は原則として「ラ イ参考書誌」にあげた資料による情報に筆者の見聞・見解を加えて総合したものです。


本編の前に・・・        

Sting et Cheb Mami / Desert Rose (en arabe) スティング&シェブ=マミ「デザートローズ」アラブ語部分歌詞

                     


はじめに

ライ rai (このページでは技術的理由で普通の i で表記してますが、本当は i の上に点が二つ入りますので御注意を)はア ルジェリア西部、オラン地方に育った音楽で、さまざまな要素・伝統を吸収しながら非常にモダンな音楽に成長しています。残念ながら日本のレコード店にはほ とんど置いてないのですが、フランスを中心とするヨーロッパ、アラブ諸国、アフリカ等でも確固たる地位を築いています。フランスに行 かれた方は、日本では想像もつかないほどのライの人気ぶりに驚かれ強い印象を受けられたことと思います。政治的にも非常に重要な意味を持つライを無視しつ づけてしまっては、アラブ理解だけでなく今後のフランス社会の理解にさえ支障が生じると思い、このページを作りました。98年夏のワールドカップで諸人種 混成のフランス・チームが世界の王者となり全国民の熱狂を呼びましたが、その諸人種混成アイデンティティ創造への動きをもっとも顕著に体現しているものの ひとつが今のライだと言ったら、その重要性がお分かりになると思います。 その後2001年9月11日の事件がライの世界飛躍に大きく水を差すことになってしまいましたが・・・


○日本で

ライ入門にはまず輸入レコード店に行って、アルジェリアのコーナーを見てみることです。それから昔出ていた日本盤は中古レコード店でときどき見つか ります(シェブ=カデル Cheb Kader とかコンピレーションとか)。

またラジオでライ関係の放送がないか注意していましょう(たとえば NHK FM の "World Music Time"(北 中正和さん担当。2009年4月より日曜8時−9時(再放送月曜10時−11時))。

インターネットではパリのアラブ系ラジオ局Beur FMや、ラップ系局 Skyrock の日曜23時〜24時(現地時間。サマータイムにご注意ください)あたりを聞いてみましょう。

以下とにかく、ライを知るにはなんとかフランス語できるようになってください。(^_-) もちろんアラビア語ができるといいのは当たり前なのです が、今の日本ではなかなか学びにくいし、それに正則アラブ語はライのアラブ語とずいぶん違いますからなかなかややこしいです。

○パリで

それで、なんとかパリまで行きましょう(簡単に言いますが)。まず FNAC や Virgin Mega みたいな大レコード店 に行ってみてください。Jussieu のパリ第七大学の北側、セーヌ河畔にあるアラブ世界研究所 Institut du Monde Arabe の売店にもたくさん置いています。

そして興味が深くなったら、パリはバルベス Barbes (北駅 Gare du Nord 近く)あたりにたくさんある小さなレコード店に行ってみて店員のにいちゃんのお勧めを聞いてみましょう。バルベスはアラブ系の人たちがたくさん住んでいる ところです。サクレ=クール寺院もすぐそこに見えるし確かに「パリ」なのですが、雰囲気はもうアラブ一色です(ちなみに Lyon では place du Pont, Marseille では cours Belzunce がパリのバルベスに当たります)。

パリにおけるイベント情報としては、紙媒体情報誌なら老舗のPariscope とか Officiel de Spectacles, Nova Magazine など、インターネットならNovaplanet のBons Plans のところから Jour par Jour の各曜日のところにパリ地方一週間のコンサート、リサイタル情報が載っているわけなのですが、パリのナイトクラブでのライ演奏などに関してはバルべスのレ コード屋さんにあるポスターやチラシ、それからBeur FM のコマー シャルをこまめにチェックしておくしかないみたいです。また最近数カ月のフランスで のライ・コンサートに関してはWled Wahran's Site の Rai-Music, Concerts のところも参考にしてください(あんまり載ってないですが)。ライ歌手の名前の多くは Cheb, Chaba がついていますからそれも目安にしましょう。これはアラビア語で「若い」という意味です。伝統歌謡の大御所歌手に Cheikh, Cheikha つまり「老、賢者」という称号をつけるのと対照しているのです。もっともライの大家リミッティ Rimitti は Cheikha ですし、Khaled は「もうそう若くないから」というもっともな理由で現在ではCheb を名前から取ってしまっていますが。

ラジオでは、上で述べたアラブ専門局のBeur FM (106.7MHz)とかSkyrock (96MHz. パリ地方の周波数)とかを聞いてみましょう。 また Lyon 近くではRadio Pluriel という局(91.5Hz)が月曜の22-24時に Arabic Rai という番組をやってましたが、まだやっているでしょうか・・・。 地域にもよりますが、アルジェリア・コミュニティ向けのテレビ局ではライ歌手の映像がよ く流れています。

○オランで・・・

あとはアルジェリア、オランに行ってみるべきでしょう。オラン、いいところですよ。 (^_^) 問題の治安の方ですが、2004年9月念願のオラン訪問を果たしたわたくしの観察からすると、これはもう随分改善されていると申し上げていい と思います。そろそろ団体旅行ツアーを企画しようという向きもあるようですから、実現しましたらまた御報告します。(^_^)y 最近アルジェリアに行っ た人の話では、滞在の最初のホテルだけ確定させればヴィザは東京の大使館で取ることができるそうです。

フランスに行ってこられた方、そしてアルジェリアに行ってこられた方、最新の状況が変わっていましたら、お教えくだされば幸いです。

*****

ライは現代に生きるアルジェリアの人々の喜び、悲しみを歌っています。そしてライをとりまく状況はアラブの人たち全体の苦悩につながり、ひいては世 界全体の「いま」に深く関わっています。心ならずもライが高度に政治的なジャンルになっていることは否定できません。

でも、まずは難しい顔をしないで楽しく聞いてみましょう。音楽なんだもの、音を楽しむことから全てが始まるはずです。「ライの王様」Khaled (kh は、スペイン語ができる方は「ホタ」 jota を発音して下さい)の最大の魅力のひとつは、あの人なつこい笑顔だとわたしは思いますよ。


何がライか?〜0

これがかなり問題です。

オランで活躍するライ歌手たちは、ライはオラン出身者のものだと思っていることでしょう。だからCheb Mami でさえ元々サイダ出身だということで、オランで活動しているころはちょっとよそ者という感じだったそうです。彼が世界に展開する最初のライ歌手になったの も、そのへんに動機の一部がありそうです。ただアルジェ出身者でもライを歌うときはオラン方言で歌う、というところからも、ライがオランの土地の感性と分 かち難いところを持っているのは確かなようです。

またアラブ系以外のフランス人には特に最近「ライ」という名称を、本来の音楽ジャンルの枠をおそらくは意識的に無視して、時に非常に政治的な含意を もたせて用いる傾向が顕著になっています。

個人的にわたしの感覚でいちばんライらしいライは、ちょっと前はシェブ=ハスニ Cheb Hasni のやっているようなやつでした("Rai-Love"と呼ばれるスタイルです。バルべスの人はこれをライ「ロヴ」と発音してますね)。事実ハスニはカセッ ト発売記録保持者で、94年に彼が凶弾に倒れてからあとも彼を超える者はいません。しかしこれは相当ずれた感覚なのでしょう。アルジェリア人の友だち H*** は、ハスニはライとしてはかなりモダン化されている、わたしにとってはハレドが昔、1988年以前にやっていたようなのがライの典型だ、という んですね(ライと政治との関係を考えてもこれは当然なのですが)。なかなか難しいです。

わたしは60年代後半からポピュラー音楽の全ジャンルを食い尽していったころの「ロック」のバイタリティを思い出しています。ライはアラブ語媒体な のでロックと同じようにはいかないでしょうが、音楽的多様性そのものを自らの特徴として展開していくのは必至のように思います。というか、そういう多様性 こそがこれまでライを育んできた土壌だったのです。

その中でライがライでありつづけるために重要なのはライの精神、ライの心なのでしょう。それは恋に喜び、悲しむ心、より端的にセックスを求め、アル コールを求め、そして大切な「自由」を求める心だと思います。自由を求めて生きることはイスラム教徒としてけっして間違ったことではない -- これがライの心なのです。「ライ」 "rai" という言葉の語源は英語の oh yeah にあたるかけ声だと言われています。しかし「意見」とか「自由な選択」を意味するアラビア語と同音であり、ライの持つプロテストの性格を示しているので す。




ライのスターたちと主なCD

1.まず最初に、何はともあれ

何はともあれ聞いておきたいのが『アン・ドゥ・トロワ・ソレイユ』1, 2, 3 Soleils (仏Barclay 559 593-2, 1998年。2枚組版、1枚版あり)です。現在のライ・ブームを象徴するイベントのライブ録音。この熱狂を体験してみて下さい。このレ コードでライにはまったという方もたくさんいらっしゃいます。2008年2月、ついに日本盤がDVD+CDという形で発売されました(ライス・レコード WRR-3014 )。もう、これは食事抜いてでも買ってください!!!                                                                                                                                                                                                          

「ライの王様」ハレドKhaled(1960年、オラン生)の半生はライそのものの軌跡と言って過言ではありません。1974年、わずか14歳でレコー ド・デビューした彼は当初から抜群の歌唱力を誇り、80年代にはアルジェリア全国のカリスマ的スターとなりました。1988年にSafy Boutella、Martin Messonnierの協力を得て作ったアルバムKutche(『クッシェ』。日本盤はライス・レコード SAR-407。左)はライのモダン化を画する記念すべき作品です。しかし彼のヒット曲El Harba ouineが煽った形で起こった88年10月アルジェリア大暴動以後ハレドはフランスに渡り、フランスの芸能界でも地歩を築いています。Kutche以後スタジオ録音Khaled, N'ssi N'ssi, Sahra, Kenza (いずれも日本盤あり)とライブ盤 Hafla があってどれも必聴です。さて現在ハレドはちょっとライ以外のジャンルに目がいきすぎのようで、ファンはちょっと不満です。最新アルバム Ya Rayi も悪い音ではないと思いますが、アルジェリア回帰を試みようとしたハレドが、ライそのものでは国際化されすぎていて他のジャンルに向かって作ったのかな、という気がしています。ともかくさまざまな国の歌手とのデュオや映画音楽の製作など、今も多方面で活躍し 続けています。2008.06.12. 2009年発表のLiberteはライ全体にとって画期的な作品でした。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%AC%E3%83%89                                                                                       

「ライのプリンス」シェブ=マミ Cheb Mami(1966年、サイダ生)。彼がKutche の二年後に出たアメリカ録音の Let me rai (Totem Records 8454282、1990年、左)もライのモダン化の過程で画期的でした。マミはその後 Saida, Meli Meli (右)といずれも水準の高いアルバムを連発していますから、どれから聞いてもマミの、そしてモダン・ラ イの魅力がよく分かります。ただ2001年6月発表の Dellali は「ちょっとやり過ぎ」とアルジェリア人たちには不評でした。2006年10月、エジプト録音の新アルバム Layali 発表直前に、女性監禁虐待事件の容疑者として拘留されてしまいました。07.11.01. このわけのわからない事件のおかげで、結局マミは刑務所入りを 余儀なくされました。ただし、かなり刑期は短縮されるという話で、おそらく2011年ころには彼もまたシャバに出てくるでしょう。また一から出直すつもり で音楽活動を再開してほしいものです。09.11.14.                                                                                                                                                                                                                                                                  

MundialCorrida 「郊外banlieueの星」「ライの Petit Prince 」フォーデル Faudel(1978年、マント=ラ=ジョリMante-la-Jolie(パリ郊外)生)は、フランスの「いま」を具現する社会現象そのものと言って も過言ではありません。かれのたどる軌跡は社会的観点からもまことに興味深いです。デビュー CD Baida (Sankara-Mercury 558 311-2、1998。左)はフランス都市郊外の音とライの音の見事な均衡を実現した傑作アルバムとして必聴盤になっています。セカンドアルバム Samra ではより西欧的でモダンな音を、サードアルバム Un autre soleil ではもっとフランス人の耳に親しみやすい音を志向していました。03.09.21. 4枚目の Mundial Corrida (右) では音も歌詞もフランス 化してしまいましたが、移民の子の心情を切々と歌い上げた意欲作となっています。ただ彼は アラブ語で歌うのを放棄してしまったわけではなく、ライブでは場所に応じて多くのアラブ語レパートリーを歌っているようです。06.10.21. 2007年には公的にも私的にも最悪の経験をして自暴自棄になっていたそうですが、2008年2月に自伝Itineraire d'un enfant de citeを出し、次のアルバムはルーツ・ライを歌うと宣言していますが・・・ 08.04.22.

ところで日本盤が出ていたおかげで中古レコード店でよく目にするライのCD に Cheb Kader, Rai がありますがこれもけっして悪いアルバムではありません。シェブ=カデルは国際的にヒットした最初のライ歌手のひとりです。最近CD、Mani を出してカムバックしてきました。 02.06.04.


2.コンピレーション。

それからコンピレーションですが、どれが絶対お勧めでどれが「買ってはいけない」ということはないように思います。とりあえずレコード店にあるもの を買っておかれたらいいのではないでしょうか? ただし発売が最近のものであっても比較的古いタイプの曲ばかり入っているコンピもありますから、まずはこ こから上にあげてあるCD をどれか聴いて現在のライの先端がどういうレベルまで行っているか知っておく必要はあります。 ライをフランス流 r'n'b 的にアレンジしたコンピ、Kore & Skalp プロデュースによる Rai'n'b fever (2004年)が大セールスを記録、フランスにおけるライの新潮流を形成しました(05.07.31. ちなみにこれには第二弾 Rai'n'b Fever 2(2006年)が出 ていますが、最初のものほどのインパクトはな かったです)。06.10.21. 1988年、ライが世界に飛躍し始めるころから2006年ころまでの音を手軽に聞けるアルバム『ライ・ストーリー』が 日本盤で出ています。これも必聴です。08.04.22.


3.さらに・・・

○Cheb Hasni(1968年、オラン生)。地元オランではライ永遠の No.1 はハレドよりもハスニだと言えます。若くして暗殺された彼ですが短い活動期間にすごくたくさん録音した人です。これが決定盤というCDはありませんが(彼 の死後レコード会社が勝手にどんどんCD を作っているんだと思います)とくにはずれというのもないと思います。あきれるほど陳腐な曲からびっくりするほどかっこいい曲まで、スタイルもいろいろの がありますから何枚か聴いて比べてみてください。

○シャバ=ファデラ Chaba Fadela (1962年、シグSig(オランの東)生)とシェブ=サハラウィ Cheb Sahraoui(1961年、オラン生)の夫婦コンビ(もう離婚しちゃいましたが)。 日本盤CDの出ていたHana Hana (Mango, P30D-10061 CIDM 1005)が結局一番いいかもしれません。ただこのコンビの代表作でライ最初の国際的ヒット曲 N'Sel Fik が、これに入っているのは"89 Mix" というやつです。どこかで83年オリジナル・バージョンと、90年代中頃にBill Laswell と録ったバージョン(オリジナルCD では Walli に入っています)とをみつけて聴き比べてみて下 さい。かならずどれかがお気に召すはずです。 Sahraoui は離婚後もライブを精力的にこなしていましたが、Un Homme libre (『自由な男』。うーんファデラと一緒のころはよっぽど不自由だったのかしらん。 (^_^;) )というソロ・アルバムを発表しました。こいつはなかなかの出来でした。

○シャバ=ザフアニア Chaba Zahouania (1959年、オラン生)。「ライの女王」。わたしは通勤の車の中でいつもライを聞いてますが、通算して一番聞いているのはおそらくザフアニアです。彼女 のドスのきいたしゃがれ声は実に個性的で、迫力満点です。一応 CD としてはZAHOUANIA (Gafaiti Production GP04、1995年。左)とかFormule rai (Aladin le Musicien, AM2379)とかが良かったと思いますが、これらはインターネットならともかく店頭では簡単に入手できるとは限りませんから、とにかくお店で見つかる CDをどれでも買って聴いてみれば「あーハズレだったかなあ」と失望しかけた途端に、ん? ん?と身をのり出したくなる曲が聞こえてくることがありますか ら、めげずにいろいろ試してみましょう。・・・なんか同じことばかり言っている感じですが。ともあれ、そろそろ彼女もビラルみたいにちゃんとしたオリジナ ルCDを作った方が、つまりカセット用に吹き込んだ曲を適当に何曲か集めてCDにするのでなしに最初から統一性をもったひとつのCD を作った方がいいのにな、と思う今日この頃です。                                                                                                                    

○Chaba Ouarda ザフアニアのお友達でメデハット・スタイルの第一人者のひとりワルダですが、Gafaiti Production から出しているCD (GP 014)は隠れた名盤だとわたしは思ってます。わたしがアラブ語を習っているモロッコの方に貸してあげたら、次の週には「モウナミダポロポロヨ。イッシュ ウカンコレバカリキイテタヨ」と感激してました。ライとレゲエの出会いアルバム Big Men にも出ています。01.12.12.

○Cheb Aissa(1972年、サイダ生)は rai-trab と呼ばれるジャンル、ベドウィ歌謡の伝統のモダン化を模索しています。最初のアルバム Chira France(Blue Silver 845 877-2, 1998年。これはあるいは以前の録音の集成かもしれません)、ライブ・パーフォマンスの力量が注目を集め、次のアルバム Nouara (Globe Music DIC B11902, 1999年)では国際的スターダムを意識した音を出していました。しかし正直言ってわたしはメジャー路線はアイッサにはあまり合わない気がしていました。 Rai-trab にこだわる限り大きな国際的ヒットは難しいですし、またアイッサの歌手としての持ち味もChira Franceの 中の Amnine rani nabghik みたいにさらっと軽快に歌うときに光るものだったと思うのです。彼もそれを自覚したのでしょう、30才になって発表したアルバム Gouli (Creon Music 812-750-2、右)ではぎょうぎょうしいアレンジを避け、しかも Nouara での経験を生かして後退することなくうまく中庸をとっています。またこのアルバムの Salam ではBoss One - DJ Bomb と共演、パレスチナ問題を扱って今日的視点を忘れていません。02.09.22. この Salam という曲はSerge Gainsbourg, Initials B.B.の引用なのですね。後から気づきました。03.05.01.

ライの母、Cheikha Rimitti。80才を越えてなおエロチックな歌詞を歌いながらステージ上でとび跳ねていた -- ほんとに跳んでたんですよ! (^_^) -- 彼女の姿は崇高でさえありました。2000年にモハメド・マグニをシンセに迎え電気楽器を導入した新しいスタイルで演奏したアルバム Nouar が大好評を得、その後マグニと一緒にツアー、 Live, European Tour 2000というCDも出していました(Next Music/Musisoft)。 リ ミッティお婆ちゃんやる気満々でなんと日本まで来てしまいました。(^_^) 2004年7月10日は日本のライ・ ファンにとっていつまでも忘れられない日となりました。04.07.14. と、全部過去形に書き直さなければならないのが悲しいです。2006年5月 15日、リミッティは心臓発作のためパリで亡くなりました。最後まで現役を通した偉大なライの母に哀悼の意を表し、その魂の安からん事を祈ります。 06.09.19.                             


4.「ライの子供たち」にも注目。

狭義のライではなくてもライを一要素として取り込んでグループで活動している人たちも注目です。ヨーロッパの移民二世層は、ライをそのような形で受容して います。ライ=クム Rai Kum、サウト=エル=アトラス Sawt el Atlas のあたりがよろしいんじゃないでしょうか。たとえば「ライの子供たち」の出世頭Rai-Kum のアルバム Rai-Kum (Sony Music SAN 494686-2、1999年)は、トレムセン出身、6歳でフランスにやってきたYahia Mokeddem の面白い声を中心 にロック、レゲエ、ヒップホップ、シャアビそしてライの 混ぜこぜの風変わりな音をだしていて面白いです。彼等もライブを精力的にこなして、もう10年以上のキャリアがあります。・・・でも最近噂を聞かなくなり ました。どうしてるのかな。03.04.08. ・・・と思っていたら最近は主要メンバーがOrchestre National de Barbesに流れ込んでいる模様です。08.04.04. その他のアーチストについてはラ イの周辺の ページを御参照ください。最近はライ・ブームのおかげでライ的要素をとりこんだ音で売るアーチストがうじゃうじゃデビューしています。一番最近で気に入っ たのはMontpellierのバンド Boukakes です(右はそのデビューアルバム・・・と長らく思ってましたがこれはセカンドでした。06.12.05.)。メンバーはアルジェリア=フランス混成だそう で、かれらもRaina Rai の Tayla をカバーしています。いいノリです。 (^_^) なお彼らは以前、この「ライ大好き!」ページを見つけてメールを送ってきました。名前は「ブカ ク」と発音するそうです。もう公式サイトを持ってますね。たくさんデ ビューするグループの大半は息が続か ず消えてしまいますが、彼らには頑張って欲しいですね。04.02.05. 幸いにも彼らはその後も順調に成長しています。2007年BBC AWARDS FOR WORLD MUSIC 中東=北アフリカ部門にノミネートされているのを見つけました。 (^_^)y 06.12.05.残念ながら受賞は逃しましたが。 (;_;) 07.11.01.                            

                                                                                                  


5.ライ新興勢力。

○フランスではNouredine Marsaoui のCD、 Petitates  (Gafaiti Production CD.GP015) がFNAC などでも見つかります。ヌレディン・マルサウイは、おそらくパリに渡ってGafaiti Production でモハメド・マグニのプロデュースで録音するようになって独特の悪役的雰囲気で存在感を持つようになったのだと思います。バルベスに行かれたらぜひ彼のカ セット Jamais Noughda を探して彼の悪人面を見てみてください。なお最近の活動はいまいちの観があったマルサウイですが、最新アルバムKhesni el visa はなかなかいいですよ。Houari Dauphin を意識しているかな、という気がします。03.04.27.                                                                                                                                                                                                           

○90年代末にオランで台頭した歌手としてはシェブ=アブドゥ Cheb Abdou (1970年、トレムセン生)がリーダー的存在です。アブドゥは上に書いたワルダみたいなメデハットのサウンドを近代化して歌って人気をえたのですが、こ れはもともと女性の内輪だけで歌われ聞かれる種類の音楽であり、彼はトランスセクシュアルな装いで登場してその意味でもアルジェリア社会に衝撃を与えたの です。しかしスキャンダラスなイメージで売り、新車のBMVを乗り回して事故って入院したりしていたアブドゥですが根はいやに堅実な男で、自分用と両親用 に家も建て、両親には立派にメッカ巡礼までさせてあげたそうです。まあなんと感心な息子さんでしょう。わたしなどとても真似できませんです。 (^_^;;) 00.12.31. さて彼のCD としてはいまのところ一応 Habibi (Blue Silver, BSD 324 50764-2 左) をお勧めします。他にもオランの現役ではシャバ=ヘイラ Chaba Kheira、シェブ=フワリ・ドーファン Cheb Houari Dauphin、シェブ=アッバスCheb Abbas などたくさんひしめいています。若手、無名歌手についてはバルベスなどに行かれたときレコード店の人にそのときそのときの注目歌手を尋ねてみるのがいいで しょう。2000年1月にはシェブ=シド・アリ Cheb Sid Ali を、2001年4月にはCheb Amrou(モロッコにも同名の有名なライ歌手がいますのでお間違えのないように), Nani などを勧められました。

○Cheb Djelloul (右)は最初アブドゥの影響の強い歌手、という印象でしたがだんだん個性を発揮、押しも押されぬオラン・ライのスターになっていたのですが、2007年突 如ライ界を引退して信仰の道に入る宣言をしました。こういうこと急に言い出す人はいるんですけどね・・・ 07.11.28.

○首都アルジェからもライ歌手は出るようになっています。ただ彼らもライはオラン方言で歌っているそうですが。主なところでは「クルーナー」のジャ ルティ Djalti(アイドル系ライと言っていい彼は (^_^;) スウェーデン女性と結婚したので「裏切りだ!」とアルジェリア女性の怒りを買っているとか)、シェブ=ハッサン Cheb Hassen などがいます。

なかでも特に最近存在感を増 して来たのがMohamed Lamine(Mohamed Amine という名前になっているCDもありますが同一人物です)で、一瞬女性かと思ってしまうような美しい高音の声を出す人です。ハレドに気に入られ引き立てられ て合同コンサートやコンピなどに参加していましたが、マルタン・メソニエの仕掛けたライとレゲエとの出会いアルバム Big Men、 コール&スカルプによるライとフレンチr'n'b(リズムアンドブルーズ)融合企画のRai'n'b Fever のアルバムなどでモハメド・ラミンはハレド以上の活躍を見せていますね。05.02.17.  

              

○Abdou, Houari Dauphin, Djelloul, Mohamed Abbassi, Nani たちは、みなスタイル的に似通っています。ものすごくノリのいい音楽です。このタイプのラ イは曲が切れ目無しにどんどんつながって演奏されているのが多いこともあってか聞けるのはカセットだけだったのですが、ようやくHouari Dauphin のもの (Golden Music GM 006。左) などCDでもきけるようになってきました(もっともこれもカセット2本をそのままCD化したもののようですが)。こういうのこそ下にあげるCheb Billal の歌と並んで、ヨーロッパ向けの商業用でない今のアルジェリア人のための音楽なのです。 それ にしても、オランを離れる気はないと宣言しているフワリ=ドーファンののシャウトを聞くと、アラビア語ってこんなにパ ワフルな言葉だったのかと驚かされますよ。(^_^) 02.07.25. ただドーファンは2003年あたりから妙に甘ったるい歌を歌うようになり、2007年ころには湾岸系の曲にまで手を出して昔からの ファンの首を傾げさせています。彼自身は「楽しければ、なんでもいいじゃん」という感じらしいんですけどね。(^_^;)  08.04.22. 2009年時点では、店頭に出ているアルバムを聴く限り、ドーファンも普通のライの音に戻っているようです。よかったよかった。09.11.14. なおモハメド・アバッシはシディベラベスの歌手で、ライ・フェスティバルがシディベラベスに移ったおかげでそのときひさしぶりに名前を聞くことができまし た。19.11.14. ちなみに女性歌手の このタイプでは Cheikha Nedjma がいます(右)。ネジマは国際的には知られていませんが、オランではたいへん人気のある人です。03.09.26.

それからシェブ=ターリク Cheb Tarik (featuring CC Raider), Reggae Rai 『レゲエ・ライ』は99年にフランスのチャートに入ったヒットで、ジミー・クリフJimmy Cliffの曲 Reggae Nights のカバーです。00.8.16.) ターリク(Mostaganem 出身とのこと)ですが、80年代末からパリで活躍しているそうです。本人から聞いたので間違いないでしょう。 (^_^) 03.03.14. 2001年4月に Beur FM のPlaylist に入っていた彼の曲 Histoire の入ったアルバム Metisstyle (Sudsonic 28076-2. 左)は日本でもちょくちょく見かけるようになりました。 01.08.12.  レゲエとライの出会いアルバム Big Men でも活躍していた彼、日本で売れないことはないと思います。本人も来たがってますけど、どなたかプロモーション引き受けませんか? 03.03.14.   

○一 番最近のアルジェリアでのカセット売り上げナンバーワンはシェブ=ビラル Cheb Billal (または Bilal)です。2000年12月時点で既にカセットを58本も出しているそうです。あまり日本人が聞いて面白い音でないのが残念ですが、ハジ・ミリア ニ氏によるとビラルの場合歌詞が重要で、かつてのバイタリティと反骨精神にあふれたライの原点に還ろうという試みなのだそうです。00.7.24. Liberation 2000年12月9日号のインタビューによると彼は1966年(マミと同年ですね)Cherchell の生まれながら生後ニヶ月でオランへ。チャンスをつかもうと思ってフランスへ渡り、マルセイユで7年間もサンパピエ(不法滞在者)をやっていたとのこと。 C'etait tres dur「しんどかった」そうです。そりゃそうでしょうね。・・・彼はもともとライが好きではなくモロッコのナス=エル=ギワン、ジル=ジララやインドの ミュージカルコメディの方が好きであり今は社会問題、若者の問題、失業、亡命などを歌っているとのこと。(以前アルジェリアの新聞で、皆がライしか聞いて くれないのでライを始めたんだ、というようなことを言ってました) Daoudi は彼の音楽を "rai moral"(道徳的ライ?)と呼んでいます。2000年12月10日かつてのサンパピエの彼はパリ、オランピアのステージに立ちました。 00.12.10. (このときのライブ録音がカセットになって最近オランで発売されたそうです) 01.03.03. ビラルのステージを見る機会がありました。言葉を叩き付けてくるような彼の歌い方に対して、聞いているアルジェリア人たちはそれを うぉおおおと腹の底で受けとめて反応している感じなのですね。凄いものです。01.05.11. 最近 CD, Sidi Sidi (左)をメジャーのPolydor から出しています。「いわいるライ」的な音からはかけ離れていますが、大変いいアルバムです。そろそろ「日本人が聞いて面白い音でない」なんて言わなくて もよくなりそうですね。(^_^) 02.06.04. 「フ ラン ス はワールドだ! +ONE情報」の ところにこのアルバムの曲の内容解説がありますよ。(^_^)y 02.12.18.

2002年夏にChaba Djenet (左)がMatadjabdouliche をヒットさせて声にハーモナイザーをかけるやり方(rai-robotique と呼ばれてます)をはやらせました。また2004年春には期待の新人としてChaba Sonia(右)が人気を集めています。ソニアもライ=ロボチックやってますが、もうそろそろみんな飽きないのかなあ。(^_^;)  04.03.21.

                                                                                                                                  

○2004年夏の収穫は Reda Taliani (右)でしょう。曲自体はメロディアスとはいえずかなり単調ですがダンサブルであり、惚れたフランス女性に苦しめられとうとう自殺にまで追い込まれるとい う男性の悲劇を歌った Josephine、「アルジェリア人はカミカゼだ。生きるためならなんでもやる」という Les algeriens camicas など、歌詞の面で注目すべきところがあります。Nouredine Marsaoui のヒット Chouli と比較する向きもあります。04.08.26.

もうひとり2004年の新星 Cheb Redouane さんもあげときます(左)。歌っている内容はレダ・タリアニ同様かなりハードです。このカセットのタイトル・ナンバー Nti Haba Numerique は「衛星放送が欲しいかい」ということで、仕事も住む家もなくとても結婚できそうもない貧しい若者がせめて外国のポルノでも見たく思う、そういう気持ちを 歌っているのです。ううむ、痛ましい話ですが、たしかにライの面目躍如と言うべき歌です。04.10.09.


6.ライの中堅どころ。

○10 年前ころにはロック=ライ・スタイルと呼ばれてそこそこ人気のあったグルー プ Raina Rai はCD も意外にたくさん出しているし、モロッコのチャートにも曲が出てきたりしています。グループ・スタイルでライを演奏する場合、彼等は先駆者として常に意識 されています(左は彼らの Live in Paris。アルジェリアのライでは主流にならなかったのですが、彼らの故郷 Sidi Bel-Abbes では伝統楽器をエレキギターにおきかえたスタイルが発達していたそうです)。Orchestre National de Barbes が Hagda をカバーしてヒットさせたのはその典型例です。2000年7月19日にパリで若手グループ Seba がライナ=ライの Taila をアンコールナンバーにしているのを聞きました。  00.7.25. 2001年7月アルジェの独立記念日コンサートではリーダー格のギタリスト Lotfi Attar が New Amarna というグループを率いて出演していました。ライナ=ライの方はやめちゃうのかな? 01.08.12. 2002年の独立記念祭にまた出て来ました。いち おう続けているようです。とにかくこのグループはライブが活動の主体なので、ちょっとコンサートに間があくとすぐ休止状態と見えてしまいます。  02.06.29.                                                                          

○シェブ=ナスロ Cheb Nasro はrai-love 路線、センチメンタル路線ではハスニと双璧であり彼の後継者だったわけですが、やはりハスニの胸をかきむしるような熱唱にはどうも一歩及ばないように思い ます。それでもマグレブにおける一般の人気は相当のものです。相当まえからアメリカに進出していて、アメリカで Departures なんてCDを出しています。03.04.08.

○エル=ヒンディEl Hindi はハレドの友達。ハスニ死後に Gaouria などのヒットをとばし、今も中堅として活躍を続けています。インド映画好きなのでこんな名前にしているそうです。見た感じもまるでインド人みたいな 人・・・だったのですが、最近はずいぶんはげてきて (^_^;) 昔の面影が・・・ 04.03.21.

○シェブ=タハル Cheb Tahar もいくつか面白い曲がありますが、それより彼は歌う姿を一度ライブかビデオで見てみてください! Bouziane Daoudi が彼のことを「もっとも spectaculaire (目を見はらせる)なライ歌手」と書いていたので、きっとステージアクションが凄いのだろうと思ってビデオを買い込んで見てみたら・・・  (*o*) (^_^;) さてこのタハルは少々変わり者で、今では地方の小さなカフェみたいなところでやっているそうです。十年以上カセットも出してません。才能あ る人なのに惜しいことです。04.03.21. 最新情報ではモロッコのカサブランカに居るそうです。 そっち方面にいかれる方は機会があれば御覧になってください。04.07.14.

○かつてのハレドの好敵手フアリ・ベンシュネット Houari Benchenet は自分のスタイルをかたくなに守り、いまもマルセイユで地道に活動を続けているようです・・・と書きましたがBouziane Daoudi の著 Le Rai によれば96年からパリに本拠を移しているとのこと。00.5.14. 99年4月にはパリのゼニットで シェイハ・ジェニアCheikha Djenia や Cheb Abdou たちとコンサートを開き、メジャーなライに対するオランのライの気概を見せていました。右はMohamed Maghni が半分の曲をプロデュースしているアルバム Drahem で、これをベンシュネットの代表作に推したいところなのですが、なぜか市場に全然出回っていません。 03.04.30.

○シェブ=ザフアニCheb Zahouani。1988年のヒット Ya moul el bar で有名になった人です。90年代後半でも Fatima (メロディが妙な音程差を移動します)など一聴の価値のある曲を録音していますが、最近は名前を聞きませんね。お酒の飲み過ぎがたたったかな?・・・ (^_^;) 03.04.08.

○シェブ=カダ Cheb Kada はハレドの相棒。シンセ担当でハレドをよくサポートしていますが、ソロシンガーとしてはどうもぱっとしません。イマイチ個性に欠けるからでしょ うか。でもそのクセのないところを逆に持ち味にして売り出すわけにはいかなかったのかしら。彼の CD、 Melite (Media 7, HDMCD 901, 1990年)ではタイトル曲 Melite と Laabou が軽快な出来で好感を持てました。2002年大晦日の「フランスにおけるアルジェリア年」開幕コンサートにも出てましたし、それなりの地歩はかれも築いた ようです。カセット、CDは全然作ってないみたいなんですが。 03.02.13.

○シェブ=タチCheb Tati はレゲエ界で有名なDenis Bovell と仕事をしたのが名前を知られるきっかけだったのでしょうか、日本で一部の人に注目されて日本でミックスしたCD、Dans la Vie を出していました。.その後 Moda, Hommage a Hasni とアルバムを出しています。最新の Hommage a Hasni には President assassine などという曲を入れてます。タチはライ歌手にはめずらしく政治的主張をストレートに表に出して歌う人ですね。 01.09.04.  

○ シェブ=ヤズィードCheb Yazid はまあライ歌手としては中堅だと思いますが、妙に組織運営の才能があって自分の会社 BBY を率いて盛んにいろんな音楽イベントを企画・運営しているので、ときどきアルジェリアの新聞に名前が出てきます。欧米の業界人もよく彼のところにやってく るそうですから、日本の業界の人ももしアルジェリアに興味をもったら彼にコンタクトしてみてはいかがでしょうか・・・と思いましたが、2001年ライ・ フェスティバルの後始末など見るとかなりひんしゅくも買っていそうな人物ですね。 (^_^;)  01.10.16.    

○シェブ=アンワルCheb Anouar は名プロデューサー Rachid Baba-Ahmed (ライ略年表参照)の甥で、少年歌手としてデビュー、Laarousa という名作カセットを残しています。95年のラシー ド暗殺のショックでしばらく沈黙していましたが、その後 Amour secret のヒットなどで大人の歌手としてしっかり成長した姿をみせています。03.04.08.   

○シェブ=ハミドCheb Hamid はハレド等とともにポップ=ライ生成期を担い「誘惑者」の異名をとった人気者ですが、体をこわしたりして数年間全く活動を停止し、消息もわからなくなりか けていました。しかし2001年頃CD、Awdi (右)を発表、ステージにもカムバックし、昔と変わらぬ力量をみせてファンを狂喜させてくれました。フラメンコに強い影響を受けたスタイルの人です。 03.04.30.  

○歌手ではありませんがジャメル・ベンイェレス Djamel Ben Yelles はシェブ=カデール、マミ、ハレド、フォーデルなどの音作りに関与して、ライの国際化を裏から支えたバイオリニストです。最近ジェーン・バーキンの『アラ ベスク』およびそのツアーで共演して脚光を浴びています。日本でもテレビの「ニュースステーション」にバーキンと並んで出演していた彼を御記憶の方もおら れるでしょう。彼が活躍してくれればライとその精神がよりしっかりとフランス、ヨーロッパに根付くことが期待されます。また現在はアメリカのミュージシャ ンなどを交えたDjam & Fam (Djamel and Family ということです)としての活動も顕著です。左はこのグループの最初のアルバム(1997年)ですが、一曲目はあのシェブ=カデールが歌った名曲 Rai Derli です。03.10.10. ジェーン・バーキンと共に来日したジャメルと会うこと ができました。思ったより大柄で、育ちのよさを感じさせる人でしたね。(^_^)  04.2.10. 

 

シェブ=ハラス Cheb Khalass は厳密に言うとライというよりスタイフィStaifi という、アルジェリア東部セティフSetifのジャンルのスターなのですが、現在だしている音はライとそんなに違わないのでここに入れておきます。むかし ムエッジン(コーランの朗唱係。ミナレットの上から朗々と響き渡る、っていう例のあれです)などという古典的職業をやっていたにもかかわらず彼には古臭 さ、宗教臭さなどみじんもありません。お祭り騒ぎにふさわしい賑やかな楽しい音で、最近急激に人気が上がってきました。 03.10.29.                                                                                                                                        


7.モロッコのライ。

Oujda の町はオラン地方のすぐ近くで、〜 El Oujdi と名前につけている歌手が何にもいることからもモロッコ・ライの中心地だと分かります。なかでもBenyounes Bouch(e)nak の息子たち、ブシュナク四兄弟はライ以外のモロッコ音楽の諸潮流(アラボ=アンダルス、グナワ、ベルベル音楽などなど)を統合して個性ある音を作りだし ヨーロッパ、特にオランダで高い人気を得ていました。いまでは兄弟グループは円満に解散し、1969年生まれの末っ子Hamid (こういうのはどうしても末っ子が残るものですね)が抜きん出たソロ活動をするようになっています。03.06.10.

Oujdi 以外の町からも、たとえばCheb Amrou などという面白い音を出しているシンガーがいます。

特にカサブランカの歌手シャバ=ズィーナ Cheba Zina の1st カセット(Edition WAC 010 = Atlas Music 017) は、なかなか入手の機会がないかもしれませんがもし見つけられたら是非一度聴いてみてください。アップテンポからスローバラードまで見事にこなしています (残念ながら2nd, 3rd カセットはイマイチ-- と最初思いましたが、だんだん面白くなってきました)。こういう人を日本に呼んできて、歌ってもらえないんでしょうか。見たところそこそこ美人みたいだ し。日本歌謡曲界のいい刺激になるような気がするんですが(つまり、そういう音なのです)。ところでズィーナさんは最近 CD 発売にこぎつけてます(Symphonie 56/353 右)。ただしこれライブアルバムですけどね。01.04.12.

カサブランカ出身歌手として Cheba Maria も人気を集めています。アルバム Jenentinie (左)は2003年のライ界では出色の出来といえるでしょう。03.11.23.

こんなこと言うとなんですが、純粋に音楽面だけから言うとモロッコ人こそ天性の音楽家で、アルジェリア人を凌駕するところがあると思います。しかし その、アルジェリア人の出す音の一種のどんくささみたいなものが、わたしには非常に好ましくて、同時代性を感じさせるんですね・・・ (^_^;)y  03.06.10.

                                                                                        


8.ライの先駆者たち。

Cheikha Rimitti 以外にライの改革者、普及者としてブーテルジャ・ベルカセム BOUTELDJA Belkacem、トランペットのベルムー・メサウド BELLEMOU Messaoud, etc. などの名前をあげておきましょう。彼らは60〜70年代、欧米ポップス、ロックに押されていたアルジェリア民衆歌謡に近代楽器の導入等で新しい活力を注入 した偉大なアーチストです。

な おライのルーツを遡る企画として Anthologie du rai 全4CD (MED/DOM, 1996年) というのが出ていますから、ライを究めたい向きの方はどうぞ。もっともたぶんこういうのは愛聴盤にするのは難しいと思いますけど・・・と思ってましたが、 最近はこういう古臭いのもわたしはそれなりに楽しく聞けるようになってしまいました。いよいよ感性が肩までどっぷりライにつかっちゃったんでしょうかね。 (^_^;)


(以上の部分、最終更新07.11.01)




-- Gerald Toto のサイト。マルチニク出身のトトはライの人ではありませんが、Faudel のデビューアルバムの多くの曲は彼が書いていて、録音にも参加しているのです。それでこのサイトにはFaudel 紹介ページもついています。ちなみに彼は98年にソロ・アルバムLes Premiers Joursを出して、これは日本盤が出てました(『はじまりの日々』。残念ながら今は品切れです)。全然ライではありませんしずいぶんアコースティックな 作りですが、これ、いいですよ。特にクレオール語で歌っている Et si という曲のさわやかさは注目に値します。ところで最近フランス映画 Les Cachetonneurs (Denis Dercourt 監督、1999年)というのを見ましたが、短い場面ながらフォーデルが歌っているところがあって、トトがギターを弾いてました。 00.5.12. その 後トトのお友達とネット友になってしまいまして (^_^) ・・・ジェラルド自身ともお友達になってしまいました。えへへへ・・・ すごくきさくでいい奴です。 (^_^) 02.03.15. 2004年の新作Toto Bona Lokua (左)はタイトルで判る通りGTとRichard Bona, Lokua Kanzaのコラボレーションになっています。これ、いいですよ。04.06.29. 右は最近のGTのライブ・ポスターです。(^_^) 05.12.04. GTのサイトは http://www.multimania.com/gtoto/  です。それからジェラルドのソロ第二弾Kitchenetteは 2006年初頭にリリースされています。曲はiTunesで聞けます。06.08.28.  CD不況でジェラルドの新作発表ののびのびになっ ています。今年末にはなんとか、という話なのですが。09.11.14.

-- ものすごいゴールドマンおたく Jean-Michel Fontaine さんのサイト、"Parler d'sa vie"。 Aicha や C'est la nuit などJean-Jacques Goldmanの作曲したハレドのヒット曲の歌詞・データや、ゴールドマンに関するハレドのインタビューの引用などが見つかります。 http://www.parler-de-sa-vie.net/   00.9.12.