その他 AUTRES

その他アルジェリア起源のジャンル、アルジェリアで盛んなジャンルにはさまざまなものが あります。

○アラボ=アンダルス。アルジェリア政府公認の古典音楽。昔イベリア 半島、アンダルス地方で成立した音楽が各地に散らばり、それぞれの土地の影響を受け、ハウズィとかマァルーフなどさまざまな名称で呼ばれながら今日も存続 しています。シャアビはその民衆的ヴァリエーションだと言われています。
さてそのアラボ=アンダルスの流れを汲むジャンルの中でもアルジェリア東部コンスタンティーヌ(アラビア語ではクサンティーナ)に伝わったマァルーフというジャンルは有名です。シャンソン歌手として有名なエンリコ・マシアスの義父にあたるシェイク・レーモンCheikh Raymond はこのジャンルの第一人者でしたが、アルジェリア独立直前の1961年にアラブ民族主義の急進化の波の中で不幸にも殺されてしまいます。彼がユダヤ人だったからで、この暗殺を機にアルジェリアのユダヤ人たちが一斉に国外に逃れていきました。
またハウズィというのもアンダルスの一支流ですが、このジャンルにはレネット・ロラネーズReinette L'Oranaiseという素晴らしい盲目の歌手がおりました。わたしは彼女の歌を聞くと深く癒される感じがします。
アンダルスを扱おうとするとどうしてもこのように既に亡くなった歌手たちのことを語りたくなりますが、アンダルスは全くの過去の音楽となっているわけではありません。たとえばナシマNassimaという女性歌手は、ポップな感じを取り入れて、フランス在住のアラブ系の女性層の大きな支持を得ています。

○グナワ。モロッコが本場という感じですが、アルジェリアにも存在し ます。むかしサハラ以南アフリカから連れて来られた奴隷が宗教共同体を作り、この音楽を発達させました。トランス音楽として世界のミュージシャンの注目を 集めています。エレキベースのような音を出す弦楽器グンブリ、鉄製のカスタネットであるカルカブを用いた独特の音で有名です。
このジャンルに関しては島グナワさんのブログをご覧ください。
2011年現在、後で扱うスアド・マッシと並んでアルジェリアのアーチストとしていちばん高い支持を得ているアマジーグ・カテブAmazigh Katebは「グナワ・ディフュージョン」というグループを組んで活動していました。このグループも、アマジーグのソロ活動も、グナワにラガを初めとする種種多様な要素をプラスした独自の音作りで勝負しています。彼は2006年、2011年の二回、来日を果たしています。

○ラップ。アルジェリアでもラップは盛んで、多くのラッパーが活動し ています。
政治・社会状況の大きな違い、言葉の差などから日本ではほとんどアピールすることができていないのですが、2011年に隣国チュニジアでベン=アリ大統領の長期独裁政権を倒した「ジャスミン革命」の推進力になったと言われる(ロトフィ)ドゥーブル・キャノンDouble Canon の活躍だけはあげておきたいと思います。

歴史が線的発展をとげているとは言いにくいアルジェリアでは、世界のさまざまな音楽文化の影響を受けた歌手がひとり一ジャンル的なスタイルで活動している 場合も多いです。

スアド・マッシ Souad Massi
 60年代アメリカのフォークソングのスタイルを伝え、それにロックや、アルジェリアの諸ジャンルをミックスした独特の音で、現在好感度ナンバーワンの女 性歌手です。プロテストソングという形では他に男性歌手バアジズBaazizが有名です。

マズーニ Mazouni
 アルジェリアの流行歌手として60年代から活躍。今もイスラエルの侵攻に抗議してレバノンに連帯を表明した歌や、ワールドカップにおけるジダンの頭突き を称賛した歌など、時事問題を取り上げた歌で今も現役活動を続けています。

2011.8.23.